高山辰雄展


 会場 小川美術館(Location
     千代田区三番町6-2 三番町彌生館1F
 会期  2004年6月21日(月)〜7月3日(土)
 時間  11:00〜17:00 (入場は16:30まで)
 休廊日 なし
 入場料 無料
 お問合せ先 TEL:03-3263-3021
  
 ・展示内容は「聖家族」本画全26点、素描、版画

黒群緑は墨と又違った美しい色を持っている
岩絵具の筆ざわり 発色はこの色ならではのものと思う
以前 エッチングで 男 女 子を主題とした作品を創ったことがあった
一昨年 この黒群緑を主に 制作をはじめている間に 何時か
同じ主題で作品を重ねている事になった
エッチングの作品に 今は亡き 井上靖先生が 「聖家族」題して下さった
この度も又題名をつける事になった
井上先生がいたら と思う事は深い
宇宙の中の地球 地上の人 私の心の中で二年近く動いていた様に思う

                                    山辰雄

聖家族讃

山辰雄のエッチング「聖家族」を書齋の一隅に置いた夜から、私には新しい作業が課せられた。作業は深更から明方に及び、すでに十数夜を重ねているが、いつ果てるとも知らない。
私は「聖家族」の一枚を携えて、紀元前一七〇〇年のヒッタイト神殿址・ヤズルカヤの岩の台(うてな)の一画に立つ。神々の隊列が刻まれている大岩壁の中で、そこだけが空白のまま置かれてあったからだ。「聖家族」の一組の母と子の像は、画面から出て、忽ちにして、そこの古い浮彫として収まった。
私はまた、「聖家族」の何枚かを携え、カッパドギア高原にちらばっているキリスト教窟院址の数々を経廻った。ビザンチン壁画はその一部を遺すのみで、祭壇や、龕は、そこに収まる主を失って久しかった。聖なる母と子は、その画面から脱け出し、あるのものは彫像として、あるものは壁画として、窟院の古い静けさの中に、それぞれの位置を定めた。

私はまたバーミアンの、竜門の石窟群を訪ね、ハッダの、ハイバクの塔院址の古い礎石の上に立った。「聖家族」の何枚かから脱け出した母と子は、それぞれの場所で、曽てそこに仏陀や、菩薩や、供養者たちが坐っていたように坐った。
私は更に何夜も、この作業を続けなければならぬだろう。山辰雄は母と子を、その関係を、この現世における最も聖なるものとして刻んだから、私はその祭壇を、今はすっかり風化してしまった古い遺跡の中に探さなければならないのだ。

                                    井上靖


山先生の代表的な作品群のひとつであります「聖家族」シリーズを、本展では一堂に集めまして、過去二回の「聖家族」展を完全な形で再現することを予定しております。

 

高山辰雄

  <聖家族]U 1993年>

 

 

高山辰雄

  <聖家族]]V 1993年>


 

 

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